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事故のあと、「全損です」と言われると、そこから何をすればよいのか分からなくなります。保険会社との連絡、修理工場からの説明、車をどうするか。話が同時に進むためです。
整理すると、進んでいるのは2つの別々の手続きです。ひとつは保険金に関する保険会社とのやりとり、もうひとつは車体そのものをどう処分するか。この2つは別々に決められます。このページでは後者、車体の扱いについて整理します。
保険の手続きと車体の処分は別の話です
まず、この切り分けだけ押さえてください。混ざったままだと、どちらも決められなくなります。
| 保険の手続き | 車体の処分 | |
|---|---|---|
| 相手 | 保険会社 | 解体業者・買取業者・ディーラーなど |
| 決まること | 保険金が支払われるかと、その金額 | 車をどこへ渡し、どう処分するか |
| 誰が決めるか | 契約内容と事故の状況によります | 原則として所有者が決めます |
| いつまでに | 保険会社の案内に従います | 保険の話と並行して進められます |
知っておいていただきたいのは、保険の手続きが進んでいる最中でも、車体の処分先は自分で選べる場合があるということです。修理工場に置いたまま、言われるままに処分することが唯一の選択肢ではありません。
ただし、条件によっては車体の権利が保険会社に移ることがあります。ここは次の項目で説明します。
なお、このページでは過失割合や保険金額そのものについては扱いません。それらは契約内容と事故の状況によって決まるもので、保険会社や必要に応じて専門家にご確認ください。
「全損」には2つの意味があります
全損という言葉は2通りの使われ方をします。車が壊れきっている場合だけを指すわけではありません。
| 種類 | 意味 | 車の状態 |
|---|---|---|
| 物理的全損 | 修理そのものができない状態 | 車体が大きく損傷しています |
| 経済的全損 | 修理はできるが、修理費が車両保険の金額を上回る状態 | 見た目ほど壊れていないこともあります |
驚かれやすいのが経済的全損のほうです。年式が古い車は車両保険の金額が低く設定されるため、修理費がそれを超えやすくなります。直せるけれど直さない、という判断で全損になっているケースがあります。
この場合、車には使える部品がかなり残っていることがあります。「全損=価値ゼロ」ではありません。
車体の権利が誰にあるかを確認する
車体を自分で処分できるかどうかは、保険金の支払われ方によって変わります。ここを保険会社に確認してください。
| 状況 | 車体の扱い |
|---|---|
| 車両保険を使わない | 車体は自分のもの。処分先は自由に選べます |
| 車両保険を使い、車体を引き取ってもらう条件になっている | 車体は保険会社側に渡ります |
| 車両保険を使うが、車体を手元に残す扱いにできる | 条件により、自分で処分先を選べる場合があります |
| ローンの所有者欄が信販会社になっている | 先に所有権の確認が必要です |
確認するときの聞き方は簡単です。「車体は自分で処分先を選べますか」とそのまま尋ねてください。選べる場合と選べない場合があり、選べるなら次の項目に進めます。
ローンが残っている場合は、車検証の所有者欄も確認してください。信販会社の名前になっていれば別の手続きが必要です。詳しくはローンが残っている車の記事で扱っています。
自分で処分先を選べる場合の選択肢
車体を自分で処分できる場合、選択肢は次のとおりです。費用を払って処分する以外の道があります。
| 選択肢 | 費用 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 損傷した車を扱う買取業者に売る | 0円のことが多い。金額がつく場合もあります | 外装や機関が損傷して使用が難しい車 |
| 修理工場や販売店に任せる | 処分費用がかかることがあります | そのまま買い替えの相談をしたい場合 |
| 自分で解体業者に依頼する | 解体費用と運搬費がかかります | 手続きも自分で行う場合 |
損傷した車でも金額がつくことがあるのは、使える部品と金属素材に需要があるためです。損傷していない部分の部品は、同じ車種を修理するために求められます。仕組みは廃車買取のからくりの記事で説明しています。
- 引き取りは積載車になります
走れない車のため、運搬手段のある業者を選びます。無料としている業者もあります - 抹消登録まで代行してもらえるか確認します
引き取りだけで登録が残ると、翌年も自動車税が課されます - 保険会社への報告が必要かを確認します
車体をどう処分したかを伝える必要がある場合があります
損傷した車の買取については事故車の買取の記事、業者の選び方は事故車買取業者の比較記事で扱っています。
買い替えを考えるときの順番
次の車をどうするかも同時に考えることになります。順番を決めておくと迷いません。
- 保険会社に、保険金の見込みと車体の扱いを確認する
- 車検証で所有者欄を確認する(ローンがある場合は信販会社にも連絡)
- 車体を自分で処分できるなら、買取の見積もりを取る
- 戻ってくる金額(保険金・買取額・還付金)の見通しを立てる
- そのうえで次の車を検討する
買い替えの相談を先に進めてしまうと、車体の処分が販売店に任される流れになりやすく、買取という選択肢を検討する機会がなくなります。急ぐ事情がなければ、3番の見積もりを先に取っておくと比較できます。
廃車の手続きと戻ってくるお金
車体を処分すると、廃車の手続きが必要になります。事故車であっても手続きの内容は通常の廃車と同じです。書類も変わりません。
| 戻るお金 | 条件 | 申請先 |
|---|---|---|
| 自動車税(種別割) | 抹消登録の翌月から年度末まで月割(軽自動車は還付なし) | 都道府県 |
| 自賠責保険 | 解約時の残り期間が1か月以上 | 加入している保険会社 |
| 自動車重量税 | 解体をともなう手続きで、車検の残りが1か月以上 | 運輸支局/軽自動車検査協会 |
事故のあとは手続きが重なりますが、自賠責保険の解約は自分で申し出ないと戻りません。忘れやすい部分ですので、落ち着いたタイミングで確認してください。3種類の還付の詳細は還付金の記事にまとめています。
車検証の所有者が自分でない場合
ローンで購入した車は、車検証の所有者欄が信販会社になっていることがあります。この場合、保険の話とは別に、所有権解除の手続きが必要です。書類のやりとりに2〜3週間かかることがあります。
車がなくなってもローンの支払いは続きます。車両保険に加入していれば保険金を返済に充てられる場合がありますので、信販会社にも早めに連絡してください。詳しくはローンが残っている車の記事で扱っています。
車が保管施設に置かれている場合
事故のあと、車が現場から移動されて保管施設や修理工場に置かれていることがあります。この状態は時間が経つほど費用が積み上がるため、判断を先延ばしにしにくい場面です。
- 保管料が日ごとにかかることがあります
誰がいくら負担するのかを、保管している事業者と保険会社の両方に確認してください - 引き取りの連絡は誰がするのかを決めておきます
自分で買取業者を手配する場合、保管先に「引き取りが来る」と伝えておく必要があります - 車内の私物を先に回収しておきます
ドライブレコーダーの記録媒体は、保険の手続きで必要になる可能性があります
保管料が積み上がると、買取額を上回ってしまうこともあります。金額を比べることより、まず「いつまでに引き取るか」を決めるほうが損が小さくなる場面です。
決める前に確認しておく3点
やることが多く見えますが、先に確認するのは3つだけです。この3つが分かれば、あとは順番に進められます。
| 確認すること | 聞く相手 | これが分かると |
|---|---|---|
| 車体は自分で処分先を選べるか | 保険会社 | 買取の見積もりを取ってよいかが決まります |
| 車検証の所有者は自分か | 車検証を見る | 所有権解除や相続の手続きが要るかが決まります |
| 車は今どこにあり、費用は発生しているか | 保管先・修理工場 | いつまでに動く必要があるかが決まります |
この3つが揃うと、「自分で売却先を選べるのか」「いつまでに決めればよいのか」がはっきりします。ここが決まらないまま買取の相場を調べても、話が前に進みません。
逆にいえば、保険会社に1本電話をかけるだけで、最初の分かれ道は越えられます。「車体は自分で処分先を選べますか」と聞いてください。
全損になった車に関するよくある質問
全損と言われましたが、まだ動きます
経済的全損であれば、動く状態のこともあります。修理費が車両保険の金額を上回るという判断であって、車が完全に壊れているという意味ではないためです。この場合、部品としての価値が残っていることが多くなります。
修理工場に置いたままですが、どうすればよいですか?
まず保険会社に車体の扱いを確認し、そのうえで修理工場に引き取りの予定を伝えてください。保管が長引くと保管料がかかる場合があります。自分で処分先を選べるのであれば、買取業者に引き取りを依頼できます。
過失割合が決まらないと車を処分できませんか?
車体を処分してよいかどうかは、保険会社と確認すべき事項です。損傷の状態が証拠として必要になる場合もあります。自己判断で解体する前に、必ず保険会社に確認してください。
保険を使わないほうがよい場合もありますか?
保険を使うかどうかは契約内容と今後の保険料に関わる判断で、状況によって変わります。契約している保険会社や代理店にご相談ください。このサイトでは判断の材料をお出しできません。
修理して乗り続けることもできると言われました
経済的全損では、修理そのものは可能な場合があります。修理するかどうかは修理費と保険金のバランスで決まる話ですので、修理工場と保険会社に見積もりと支払額を確認してください。このページで扱うのは、処分すると決めたあとの車体の扱いです。
全損の車でも還付金は戻りますか?
戻ります。損傷の程度は還付の条件に関係ありません。自動車税は抹消登録をすれば月割で戻り、車検が1か月以上残っていれば自賠責と重量税も対象です(軽自動車税を除く)。抹消登録を済ませることが条件ですので、引き取りだけで終わっていないかを確認してください。
動かない車でも引き取ってもらえますか?
引き取ってもらえます。積載車で運ぶため、自走できる必要はありません。引き取りを無料としている業者もあります。依頼するときに車の状態と保管場所を伝えてください。
全損になった車の扱いのまとめ
要点は3つです。
- 保険の話と車体の処分は別…並行して進められます
- 全損でも価値が残っていることがある…経済的全損なら特にそうです
- まず保険会社に車体の扱いを確認する…自分で処分先を選べるかどうかがここで決まります
事故のあとは決めることが多く、車体のことは後回しになりがちです。ただ、処分してしまうと選び直せません。保険会社への確認だけ先に済ませておくと、あとで選択肢が残ります。手続きの流れは廃車手続きの解説記事をご覧ください。

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